団地に取り付ける階段一体型EVの実験施工の記録
by coe_a111
2005年12月2日 原寸検査
福島県いわき市の鉄骨工場で、原寸検査が行われた。
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原寸検査は、その名のとおり原寸の図面を作って図面の内容をチェックするもの。黒板用塗料が塗られた床に、チョークの粉を入れた墨壺で断面方向の基準線を墨出しして、1/1の鉄骨製作図を並べていく。つまり、一通り図面を並び終えると、実大の断面図になる。
従来であればこの図面がそのまま型紙となり、それを使って部材を製作するが、現在では、パソコンで打ち込んだデータでそのまま製作ができるので、本来ならば必要のない作業。ただ、工場の方は自身の工場をアピールする場であり、デモンストレーション的な意味合いもあるらしい。

図面の周囲に集まって、図面内容を確認。
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建てるものはそんなに大きくないが、すべて実寸なので、一通り目を通すのも一苦労。つい走ってしまう。自分たちが作ろうとしているものがどのようなスケールなのか、かなりつかめてくる。

変更点があった部分については、その場で図面に書き込んでいく。すべて実寸。
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検査後の打ち合わせ風景
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向かって左側が鉄骨工場の方々。右側が首都大学チーム。奥に位置しているのがゼネコンの方。

この検査を終えると鉄骨関連の部材の製作がスタートする。もう後戻りはできないし変更もきかない。そんなちょっとした緊張感の中、検査は時間を大幅に遅れて終了。お疲れ様でした。(HO)
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# by coe_a111 | 2005-12-12 01:48 | at Factory
目指すもの
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どうしようもなく不便になってしまった感のある団地だが、なぜそれにエレベータを付けてまで延命させるのか。確かに量がとんでもなくたくさんあるから、全部建替えなどできないという理由もあるだろうし、環境的に見ても、今あるものを利用しながらやっていくのが社会的な意義と言えるだろう。

ただ、もう少し違った見方もできる。

我々が「団地」と聞いてイメージする、何か戦後日本の原風景のようなもの、激動の時代を共にすごし、そして環境が全くと言っていいほど変わってしまった今も、ひっそりとその環境の中にたたずむ、愛着すら感じてしまうイメージが、団地にはある。そのイメージを大切にしたいと思っている。

もちろんこれはイメージの話にとどまらず、利点として挙げられる項目はいくらでもあるだろう。現に、団地の周辺環境というのは、驚くほどいい。
そしてそのイメージを壊さずに、新しい魅力をいかに与えることができるか。それが今回のプロジェクトのテーマとなる。

具体的な話をすると、団地にエレベータを取り付けるシステムが、過去に全くないわけではない。むしろ、いろいろなやり方が試されている。
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この写真は、最も一般的と言われている方法。もともとある階段室のすぐ外側にEVを建てている。この方法だと、階と階の間の踊り場にEVは止まる。結局、半階分の上り下りが必要になってしまい、完全なバリアフリーにはなっていない。

そこで、今回は、同じような形式なのだけど、完全にバリアフリーになる方法を考えた。
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上に示した図は、左が従来の方法で、右が今回作るもの。

今回作るEVの特徴は、もともとある階段を全部撤去してしまい、そこに新しく床を張って、その外側にEVと階段が一体となったユニットを建てる、ということ。こうすることで完全にバリアフリーになり、なおかつ各階に新しくエントランスホールができる。しかも、このユニットの一階部分にも、新たに郵便受けを置くスペースを作ることができる。
この、新しい要素を付加している点が、従来の方法と大きく異なっている。

でも、新しく建てるEVユニットがとんでもなくゴツくなってしまったら元も子もない。むしろ住環境を圧迫することになってしまう。
そこで考えたのが、EVシャフトを軸とする「やじろべえ」のような構造。
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EVシャフトの周りに階段が巻きつき、その外側に細い引張材を張りめぐらせる。これによって全体が安定し、かつ外観も重苦しくならないですっきりする。
この構造を元に、EVユニットが形作られていく。

今回は、透明感を出すと共に、階数の低い建物と広大なオープンスペースによって切り取られた大きな空と、団地に繁茂する多くの木々を映し出すよう、ガラスを全体に用いたデザインとした。(HO)
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# by coe_a111 | 2005-12-10 03:41 | Concept
Introduction
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建物は、50年、60年、場合によっては100年だって使われるものだけど、長い時間の中では、そこに住む人の状況も、社会の状況も変わる。
100年後には、いま生きている人は全員この世からいなくなって、人間の総入れ替えが起こっているわけだから、当然、その建物を使っている人にも総入れ替えは起こっている。
仮に、いま4人家族が住んでいる住宅に、100年後、同じような構成の4人家族が住んでいたとしても、二つの家族にとってその住宅の意味は全く違うものだろう。
問題を矮小化することを畏れず、簡単な例を出せば、50年前に4人家族が住んでいた住宅に、いま4人家族が住もうと思っても、狭くてとても住めない、つまりそういうことだ。
同じようなことは、場所が変わることによっても起こる。
4人家族がちょうどいいと思う大きさの家は、オーストラリアと香港では全く違うものだろう。

このことは、建築計画 f が時間 t と空間 s の関数であることを表している。
日本は、戦争で建物が全部なくなって、一気に当面必要な建物を建てたわけだけど、それから何十年か経って、f(t0) と f(t1)の乖離が我慢できないほど大きくなっている状況が、あちこちで起きている。

集合住宅も例外ではなくて、「団地」と聞いてイメージするあのタイプの集合住宅が、だいたい築30-40年くらいで、住民はみんな年をとったのにエレベータもないし狭いしお湯はたくさんでないし、しかもそういう住宅が社会資本を投入して建てたものだけで200万戸以上もあるし、どうすんだって話になっている。

で、これはそんな集合住宅用のエレベータ付加システム。
汎用性のあるものだから、建築というよりも、プロダクトに近い感覚のもの。

これから数ヶ月間、このCGが現実になる過程を記録しておこうと思う。
(KK, HO, AU, HS, NK)
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# by coe_a111 | 2005-12-08 21:36 | Concept